オールラウンダーの資質
10年ほど前まで、マイストと肩を並べる100円ショップの定番ミニカーだったウェリー。
しかし2010年代後半から100円ショップから姿を消し、価格アップや販売元が変更された上で一般小売店に販路を移し、現在はトイザらス専売の「スピードシティ」シリーズで積極的な製品展開が行われている。
スピードシティでは目立った新製品発表はないものの、サイレントで新製品が定期的に売場に追加され続けているため、定期的にコレクターの注目を集めている。
そんな中、先月頃から投入されたモデルが注目を集めている。
それこそが、ホンダ シビックである。
モデルとなったのは「スポーツシビック」の通称で知られる5代目のEG型。
カラーはソリッドホワイト×艶消しブラックボンネットと、ストリート風カスタムを少なからず意識した組み合わせになっている。
丸みを帯び、平たく延びたサイドスタイルが妥協無く表現されている。
ブラックアウトしたマッドガードと最低限の細部表現で、シンプルな印象のリアビュー。このセクションが一番視覚的な軽さを感じる。
ここからは細部表現。
フロントはライトやボンネットは塗装、スポイラーや内部グリルはシャシ一体表現となっており、割り切り感はあるものの、フロントフェイスのアイデンティティ表現はしっかりと行われている。
ホイールは、かつてからウェリーの多くの製品で採用されている5本スポークタイプ。
そしてサイドでは、プロテクションモールの立体表現やドアミラー表現などが行われ、車体そのものの造りが磨き上げられているように感じる。
ただし、それに全振りしたからなのかは不明だが、ピラーや窓枠の塗り分けは施されていない。
リアではランプが塗装、リアスポイラー、エキゾーストフィニッシャー、マッドガードはまとめてシャシ一体での表現となっている。
ギミックは無いものの、内装の造りは素晴らしく、一体成形ではあるものの、特徴的な1本柱ヘッドレストや、純正3本スポークステアリングがリアルに表現されている。定価300円以下のダイキャストミニカーでは極めて珍しいことだろう。
プチカスタムされたスタイルと、確かな内装表現を組合わせ、それでいて安価。全体のプロポーションがとても良いので、そのままでも充分魅力的であり、尚且つ持ち前のシンプルさ故に、多様なカスタム形態に対応するベース車としても最適だろう。
ウェリーのシビックは、全世代コレクターのあらゆる需要に耐えうるような、オールラウンダーの資質を持った1台と言える。