2023年におけるトミカは、スポーツカーや輸入車をとことん押す路線ではなく、国産乗用車を主軸とした新車展開で身近さを重んじるラインアップになりつつある。
現実世界のブームは確実にトミカにも反映され、SUVカテゴリー新車種も今年だけで4車種登場している。そのどれもがリアルさを求めたスタイルに加え、カラーでも個性を主張するわけだが、今年は異例の事態が起こっている。
初回のミニカージャンクションは、「トミカSUV新車+カラー傾向」を組み合わせて、現況や筆者なりの考えを記していく。
今年のSUV新車とカラー比率
の4車種。いずれも初回設定ありで、アウトランダーとランドクルーザーは黒、CX-60とエクストレイルは白と、各色50%ずつではっきり分かれている。
最近の初回カラーはモノクロ傾向なため、まだ違和感は感じないが、問題はこの後の通常カラーにある。
それぞれの通常カラーは、ランドクルーザーのみが白、アウトランダー、CX-60、エクストレイルが全て赤。なんと赤比率が75%という、ここ最近でも珍しいことが起こっている。
それに加えて、アウトランダーはレッドダイヤモンド、CX-60はソウルレッドクリスタル、エクストレイルはカーディナルレッドをそれぞれ模したもので、どれも深みがある赤というのが面白い点である。
各車の赤になったと考えられる理由
ここでは、なぜ各車の通常カラーが赤に決まったのかという理由を考えていく。
まずはアウトランダーから。
2016年、トミカにおける久々の三菱新車として登場したのが、まさにアウトランダーだったのである。その時のカラーは、通常シルバー/初回レッドだった。しかしその後はデリカのみの投入で、SUV系については投入の空白が続いていた。
つまり今回の選定には
- 先代初回カラーの実質昇格
- 製品化されていないエクリプスクロスのメインカラー踏襲
の2点が考えられる。
続いてはCX-60。
12年にトミカ化されたCX-5を起点に、通常レッドが固定状態となっていたマツダ車のトミカ。4月まで現役だったMAZDA3もレッド1色展開であった。
ここから考えられる選定理由は
- 10年強続いている赤メイン体制の踏襲
が考えられる。
続いてはエクストレイル。
00年の発売以来、T32型モデルチェンジ直後まで実車は赤メインを貫いた同車。もちろんトミカにおいてもT31,32が発売され、さらに緊急車両でも32系の消防指揮車という徹底的赤色体制。
ここから考えられる選定理由は
- 車種のアイコンとしての赤色継承
が考えられる。
最後に全体で考えられる理由である。
現代においてミニカーのリアル化はさらに加速。造形や細部表現など全てが高い次元で組合わさっている。もちろん塗装もただのメタリックではなく、こうした深みのあるものまで表現されるようになった。
そこで考えられる理由が
- 深みのあるカラーリングによる、重厚感の表現
である。ダイキャストならではの「物理的な重み」だけではなく、質重視の今、「視覚的な重み」を、堂々たるスケールのSUVに深みのある赤塗装を施すことによって主張しているように思える。
特集での結論
今回のミニカージャンクションの結論は
「重厚感と造形の強調」である。
今回は「トミカSUV新車+カラー傾向」をテーマに、現状や筆者の考えを記してきた。
車種イメージの踏襲、初回昇格など考えられる理由は多くあるが、全ての車種に通じる理由であることや、近年のミニカー進化速度を踏まえ、冒頭の一文とした。
日本を代表するミニカーブランドとして進化を続けるトミカ。今回の赤傾向に続く形で、今後もこうした単一カラーラッシュが起こるかもしれない。