ミニカージャンクション#3 もうひとつの2004年生まれブランド-コナミ絶版名車コレクションを覚えていますか-


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2004年前後。それは1/64スケールの国内ミニカーに大きな動きが見られた期間。今回はそこからさらに絞りこんで、多くのメーカーに車種選択面での繋がりを残したであろう、コナミ 絶版名車コレクション」にスポットを当てて当企画をお送りしたい。

前年2003年から、京商コンビニエンスストア向けにブラインドボックスタイプで1/64ミニカーを展開し、2004年1月からはトミカから1/64統一スケールの精密シリーズ、リミテッドヴィンテージシリーズが始動した。

そしてその動向は食玩にも及び、2004年2月、精密1/64ミニカーがコナミから発売された。

それこそが今回の主役、絶版名車コレクションである。


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税込価格368円、6車種×2バリエーションという設定は、当時のトミカリミテッドヴィンテージ比で約1/3の安値、京商ミニカーコレクションと同価格帯という、車種や価格的競合が存在するなかで、両方の良いところ取りと言えるものであった。

ここからは当シリーズの良さや現在狙う上での注意点などを紹介する。

良さ① 1/64統一スケールf:id:SERIE:20240606201939j:image

ライバルも同じ1/64スケールじゃないか!」という声も有るかもしれないが、やはりこの点は声を大にして良いと伝えたい。

当コレクション展開当時の京商トミカリミテッドヴィンテージはボディサイズの差があまりないラインアップだったが、コナミは当初から360ccの軽から2000ccクラススポーツカーまでを揃え、顕著にボディサイズの変化が早くから楽しめた。これは同時期の他社にない魅力と言えるだろう。

良さ② 車種バリエーションf:id:SERIE:20240606202553j:image


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当コレクションシリーズの車種展開は、RX-7やベレットGTR等のメジャー物から、40セリカコンテッサ等マニアック物まで広くカバー。

主要な名車しか知らないという人、少し深く旧車を知っているという人のどちらも取り残さない構成だったと言える。

良さ③ 内装表現

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安価なミニカーは、何かと一色で内装が形成されがちだが、コナミは違った。

車種によって、ウッドステアリング風表現やベージュ内装など、重厚感を生む細部表現が施されていたのである。

このような表現があることで、20年経過した今でも見劣りしないプロポーションを実現していると言えるだろう。

現在狙う上での注意点

これまで良いポイントをお伝えしてきた、コナミ絶版名車コレクションだが、ここでは現存している中古品を狙う上での注意点について説明する。


① 塗装のひび割れ
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こちらのプリンススカイラインのように、塗装がひび割れた個体も少なくない。

コレクション目的で購入してから気づいてしまうと、かなりテンションも下がってしまう要因にもなるので、修理目的以外であれば販売時に見極めることをおすすめする。

② メッキの剥がれ、劣化


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上のS600のグリル部分のようなメッキの剥がれや、下のシルビアのホイール部分のような劣化も多く見られる。

ただしこのポイントについてはもし仮に購入時気づけなかったとしても、メッキ色の墨入れペンで修正が効くため、コレクション目的でも、ひび割れほど深刻に悩まず済む箇所と言えるかもしれない。

後継の存在
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絶版名車コレクションは、ナンバリングとしてVol.7まで続けられた後、2006年4月の人気車種総括アソート、The Bestをもって終結した。

そしてその2ヵ月後の2006年6月、今度は80年代の名車にピンポイントでフォーカスを当てた「Car of the 80's」の展開がスタート。同月はEDITION BLUE、4ヵ月後の2006年10月にEDITION REDをリリース。ナンバリングではなく、色でのシリーズ分けとなった。

絶版名車コレクション同様、ユーノスロードスターやZ32フェアレディZのような世界レベルの名車から、ワンダーシビックでも「25B」、16/18セリカでもGT-Rと、マニアックさ隠しきれないラインアップ構成は無事(?)引き継がれた。

この後もどうやら80年代の名車の数々が商品化される筈だったようだが、その前にコナミ食玩市場から撤退してしまったことにより、これ以上の展開は叶わなかった。

このシリーズが与えたもの
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2004年、食玩市場に彗星のごとく現れた絶版名車コレクション、そして2006年、その後継として登場したCar of the 80's。

これらが登場した後、トミカリミテッドヴィンテージでも360ccクラスの軽自動車や80年代車などラインアップ拡充が図られ、今では90年代、00年代の名車も扱うようになった。

食玩でもFトイズが2014年から日本名車倶楽部を展開。こちらはギミック付きでプラボディながら重厚感あるボディ表現を実現している。

そして、ホンダ シティやニッサンパイクカーシリーズなど個性的な車たちは、カプセルトイミニカーとしてデビューを遂げている。

時代背景的要因もあるとは思うが、80年代車やその後の時代の車がその後複数分野で充実したことや、食玩の高品質ミニカー市場を拓いたことを踏まえれば、少なからずこのシリーズが与えた影響は確かにあると考えられるだろう。

終わりに


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もし仮に、今の時代に絶版名車コレクションやCar of the 80'sが復活したとしたら、当時と同じ価格で販売することはまず叶わないだろう。

そして、そのシリーズが目指したかった続きは、トミカリミテッドヴィンテージを筆頭とするコレクションミニカーや、カプセルトイミニカーなど多方面で既に果たされている例が多く存在する。

そういった理由で現代での復活が叶う確率が極めて少なくても、2000年代中盤に1/64ミニカーのいち時代を築いたシリーズとして、今後も語り継がれること、手に取られることを切に願いたい。