掌にのせる芸術
19年に発表されたマツダの次世代商品群第1弾として、もはや日本車の域すらも凌駕しそうなデザインで登場したMAZDA3。意外性のあるデザインをそのまま落とし込み、トミカ化されたのは2020年11月のことである。
モデルとなったのはファストバックと呼ばれる5ドアモデル。ドア部分の独特なえぐりがしっかり表現されている。
ボディカラーは、実車のメインカラーであるソウルレッドクリスタルを模したメタリックレッド。ホイールは一般的なメッキではなく、ブラック塗装でクルマの雰囲気に合わせている。
再現グレードは箱絵や細部表現から20S系と思われる。
細部表現を見てみる。
マツダらしい力強い逆ペンタゴングリルは、メッシュパターンの再現やグリル外周やバンパー下部のブラック塗り分けと相まって、カラーリングに合った上質な雰囲気を作り出している。
ヘッドライトはシルバー単色塗装でややシンプル気味だが、全体的に見れば前述のグリル周り表現で相殺されている印象だ。
リアに移る。独特なリアランプ形状が立体的に表現され、メーカー&車名ロゴやSKYACTIV-Gロゴもタンポで再現。バンパー下部ブラック塗装はシャシ一体での再現となっている。
ただしリアランプについてはレッド主体のため、角度によっては目立ちにくいという欠点もある。
個性的なデザインを500円クラスのミニカーに高い次元で落としこんだ、まさに制約のなかの名作と言えるトミカのMAZDA3。
今年4月をもって廃盤となったが、その作り込みや佇まいは今年8月に登場したCX-60へしっかりと受け継がれている。
芸術の秋。この季節に美しいデザインのミニカーを掌で鑑賞するのも良いかもしれない。