コレクションしよう
今からちょうど25年前の今日、S15型シルビア発売のプレスリリースが発表された。3ナンバースペシャルティから5ナンバーピュアスポーツへと変貌を遂げたそのスタイルは、この日から多くの人々を魅了したのだが、ミニカーにおいてのS15はトミカなどの3インチサイズにおいて、近年まで決して恵まれている存在とは言えなかった。
しかし発表から25年の今日、一つの革命が起こった。それこそがトミカプレミアムのS15シルビアである。
再現グレードは装備パーツや後述の細部表現から、Spec-R AERO、カラーはライトニングイエローを模したソリッドイエローである。
1/62スケールに落とし込まれた、シャープで端正なスタイリングは、新製品情報での尻上がり感を感じさせない美しさ。
もちろんそこも強みだが、他にも注目すべきところがある。
これまでホットウィールやトミカギフトセットなどでS15シルビアがモデル化されていたが、それぞれに、価格が1,000円を越えることや単品では一切販売されないなどの難点があった。
ところが今回のトミカプレミアムでは、「1,000円以内」で「単品」なおかつ「いつでも買える」という、これまで登場したモデルの難点を克服して、強みにしているのである。
話題をスタイルへ戻す。
サイドでは、5ナンバー回帰したS15シルビアならではのコンパクトさが際立つ。更にバンパーやサイドスカートの長さ、ホイールベースの不自然さもなく、パーツ同士のバランスも絶妙だ。
リアではスポイラーとマフラーの2種類パーツを目立たせ、スポーティーイメージを主張する。そこにフロントドアから延びたキャラクターライン表現によって、そのイメージを強調させている。
細部表現に移る。
フロントではライトがこれまでのギフトセットものとは違い、塗装からクリアパーツ表現へと変更され、シャープさを高めている。
フォグランプやナンバー枠再現は変わらず塗装、車種固有エンブレムはタンポでの表現である。
ホイールはプレミアムらしく、実車形状。Spec-Rシリーズの5本スポークタイプが再現されている。ただし肉抜き部分はホイール色と同色のため、ディテールにこだわる方は墨入れ必須だろう。
ホイールやエアロ装備だけでなく、サイドバッジもタンポ表現することにより、箱に書かずともSpec-Rであることを本体全ての角度で主張し、ミニカーで起こりがちなグレード不明感を無くしている。
リアではまずスポイラーが目に飛び込む。3点固定で別パーツ表現。ハイマウントストップランプもしっかり塗装され、ハイグレード化されていることを主張。
リアランプもギフトセット物の塗装から別パーツ表現へ昇格。これにより、ウィンカーとストップランプ部分の塗り分けが鮮明になった他、ガーニッシュによってシャープなリア回りを演出している。
そして今回金型の目玉というべきギミック。
スタンダードな左右ドア開閉だが、これがあるだけでかなりの特別感がある。
開口部も十分確保され、狭さを感じない。
内装もドア開閉の恩恵で更に詳しく見ることが出来る。
ただし構成はギフトセット物と変わらず、インパネセンターに1DINオーディオ、3連エアコン吹き出し口が表現されている。シートも実車形状で、ヘッドレスト下部まで回り込むサイドサポートもしっかり表現されている。
25年経ってようやく、いつでも買えるありふれたミニカーの仲間入りを果たしたS15シルビア。
今回のシルビアだけに限ったことではないが、定められた範囲でこだわりを詰め込んだ一品が、こんなに手軽に買えるチャンスはいつまで続くか分からない。
25年前、実車に付けられたキャッチコピーはスポーツカー走りの楽しさを表現した、「ドライブしよう」と言うものだったが、今日登場したトミカプレミアム版には、コレクションする楽しさをもう一度気づかせてくれる存在という意味を込めて、表題通りの言葉を贈りたい。