白ご飯のようなシンプルさ
2000年代の100円ショップのミニカーコーナーでは、マイストとウェリーが常に並んでいた。
両者ともに実車再現、ダイキャスト製という最低限の重厚感を確保していたが、チープものギリギリのシンプルさとなっていたのもちらほら。
そんな在りし日の100均ミニカーでコアな人気を誇っている1台が、今回紹介するアコードである。
銀一色のボディはシンプルそのもの。小径タイヤやボディ同色Bピラーによってチープさが際立つ。
さらにアメリカのミニカーメーカーにもかかわらず、左ハンドル米国仕様ではなく右ハンドルの日本仕様での再現というのが大きなポイントだ。
灯火類が無塗装故に、一種のデザインスタディのような滑らかさを持つサイドスタイル。さらに小径タイヤ装着によって、より伸びやかな印象を与えている。
リアスタイルは少し賑やか気味だが、それでも灯火類が一切塗装されていない故のシンプルさが効いている。
細部表現に移る。
フロントは灯火類塗装こそ無いものの、グリルの深みやホンダエンブレムが鎮座する枠、フロントバンパー内部形状もしっかり再現されている。
ホイールは異形組み合わせ型10本スポーク。同年代のマイストでは様々な車種に採用されたスタンダードタイプだ。
リアではホンダエンブレムとアコード車名ロゴのタンポ表現があるのみで、リアランプの塗装表現はフロント同様無し。
バンパー下にはマフラーがシャシ一体で、それに伴ってバンパーもマフラーが収まる空間がしっかり確保されている。
先月にツーリングカー仕様のアコードを紹介した後に、かつてから有るこのシンプルなアコードを見ると、最初はやはり物足りなさが目立ってしまうが、詳しく見ていくうちに、車体としてのポテンシャルを大いに秘めたキャストであることが感じられた。
白ご飯がそのままでも美味しく頂けるように、マイストのアコードも細部表現だけでは語れないリアルさと言うおいしさがある。
まさにコアな人気も納得できる1台である。